表皮の聖顔

所々剥げかけ、朽ち落ちる表皮のような肌が連なっている。

  厚さと硬さと質の違うそれぞれの表皮、その重なりの奥に光る小さな目。

    ジッと、一点を見据え、射抜くような視線は動物の目を想像させる。

            何を見ているのだろう。

長い年月耐え、生きてきた年輪が複雑怪奇な皮膚の上にうねり、重なり、硬化する。

 その下の顔層から新たな意識の動きが盛り上がり、顔の表皮を醜く割り散らす。

          黒ずんで闇に溶け込む顔の様々な意識

      耐え難い苦しみと悩みの層が堆積し、強張った顔の部分達

  顔からドロリとした苦悩の濃いタールを抜いてしまえば、赤子の顔が現れる。

          生きるものたち誰もが持っている顔、顔

           誕生した時に頂いた、光に満ちた顔

             無垢な仏のような顔たち

         人生の重荷で顔を厚く覆ってしまった仮面よ、

     仮面はそれなりに地層となって、お前の人生を現しているが、

           もう、その面は重すぎるだろう?

               辛すぎるだろう?

              醜すぎるであろう。

            また、天に戻る日のために

           顔の表層を毎日、毎日剥がしなさい

           その日の心の垢を拭い去りなさい

           聖なる顔に向かって、顔をあげなさい

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