愛煙家クロッキー氏は幼少の頃から父の真似をしてタバコを吸っていた。
とても喫煙しているように見えない少年、体からのタバコの臭いは無く、茶目っ気のある子供そのものに見える。
しかし、彼の肺は13歳の頃にはヤニ、タールに埋め尽くされ、生きている肺の細胞は皆無になってしまった。
遠足で手を繋いで歩いていても息切れがして立ち止まる事が多い。
数段の階段を上がるだけで100mを全力で走ったような息苦しさになる。
これは生死にかかわる非常事態だとクロッキーは不安になり、医者に思い切って出向いた。
肺のレントゲンを撮ったが、肺は白い霧が掛かったような状態で機能不全に陥っていた。
医者は、「こんなになるまで肺を放っておいてはいけない、あんたは風邪をひいたら呼吸困
難に陥って死ぬよ、風邪は絶対に引いてはいかん・・・」
思えば肺から立ち上るタバコの煙は自分の肺が失われていく姿だったのだ。
失われた肺の細胞は二度と復活しない、彼の肺はカスカス状態。
この呼吸困難とともに生きて行かねばならない。
ある夏の日、消滅した肺のクロッキーは静かに呼吸を停止した。
死んだ自分の姿を見て合掌。健康への反省が尽きない。
興味半分での喫煙が命取りだった・・・。