祭り男で大道芸人のソマールは46歳になった。
独身、身長2m25㎝と長身だ。
幼い頃から休日や祭日は朝からワクワクして村中を走り回っていた。
ある日、村祭りの日に大道芸人の梯子芸を見て強く心を動かされてから、
「俺もみんなの前で奇抜な芸を行なって拍手喝采を得たいもんだ」と思った。
ドサ回りの大道芸人と仲良くなり、いろんな芸を教わり18歳の時から古参について3年ほ
ど見習いをして芸を身につける。
戻ってきたソマールは身長がグンと伸びて村人はソマールとは思えないと驚いていた。
身長が伸びることは、人目を引いて良いことなのだと古参たちに言われてきた。
ソマールの身長は46歳の現在でも伸び続けている。
一本の梯子を補助なしで彼は駆け上がっていく。
落ちないように微妙なバランスを保ちながらだ。
背が伸びてきたので3mの高さの梯子が小さくなってきた。
「新しい4mの梯子を注文するか?お金がないから困ったなあ・・」
数年後、彼の身長は3mに達していた。
「もう、梯子芸を見せなくても俺の身長を見せるだけで十分だ、俺自身がハシゴだもの」
顔は小さく、細く節くれだったラクダのような脚、手足は枝の様に細く長い。
大道芸人を引退したソマールは身長を生かして屋根の修理業に精を出している。
時々、長い手足を生かして祭りでクモ踊りを披露する。これが大変好評だった。
身長が4m近くになった時に歩行困難になり、体力低下して亡くなる。