彼は静かな男というよりは、いつも何を考えているか分からない男なのです。
ひとりで家に居る時も、一点をジッと見つめているような感じで椅子に座って動かない。
まるで静止画像のようだと言う者もいる。
語り掛けてもうんともすんとも言わない。
肉体にマルオという魂が入っている訳だが、呼びかけても無反応。
「ははーっ、奴は居眠りしているんじゃねぇか?」と村の長老が言った。
それは少し当たっている。
マルオは1日のある時刻になると椅子に座って動かなくなるのは肉体から魂のマルオは出て
自由に動き回っているからだ。
その動き回っている世界はこの世ではないらしい。
常人には夢と思われるような世界に没入して生活している。
その時間帯は午後2時〜4時。
夢のような世界に2時間居るが、夢の世界では2時間は一週間程になる。
その夢の様な世界では彼は牧師長を命ぜられて人々に真理を説法しているそうだ。
また、午後4時過ぎになると肉体に戻ってきて子供を集めての塾を始める。
マルオには午後2時〜4時の夢の様な世界での記憶は全く残っていない。
不思議な男マルオは45歳独身。