村の長老の妻エグシャリは238歳を迎えた。
エグシャリの記憶はエッケンドニ村の歴史なのだ。
彼女は木材豊富なこの村に住み着き旦那と土地を切り拓いてきた。
当時のドニ村には奇妙奇天烈な木が生い茂っていた。
自在に曲がる針金のような大木、時間経過で色を変える葉、煮ると魚の肉ようになり食用になる木。水分を多く含んだ木は穴を開けると蛇口から水が出るように噴き出す。
それらの木で住まいを造った。
建て直しも数えると52回にもなる。
今は余生を丘の上から下界を見続けている。
エグシャリ老婆は動かず、ジッと下界を見続ける。
老婆の下半身は木に変身しており硬い地面と結ばれている。